
「友だちを大切にしなさい」とは言うけど、ちゃんと伝わっているのかな…

「友だち」とうまくやっていくために、何を教えたらいいのか…
「友だち」について子どもに話をする際、どんな風に伝えるのがいいのか迷ってしまうことってありますよね。
- 友だちとうまくやっていってほしい
- 信頼できる友だちを見つけてほしい
- それなりにうまく付き合う術を身につけてほしい
そんな風に親や教師として願うことは多くありますが、具体的な話ってなかなか何て言えばいいかわからないものです。
今回はそんな風に悩んでいる先生やお父さん、お母さんにオススメの1冊『友だちってなんだろう?』(齋藤孝 著)をヒントに子どもたちに伝えたい「友だち論」をまとめていきます。

この考え方を知ることで、大人として持っておきたい「友だち論」の芯ができますよ!

そもそも「友だち」って何?
友だちの定義とは
まず、「友だち」とは何なのか「定義」をはっきりさせましょう。
この定義をはっきりさせた上で、子どもたちに「友だち」についての話をしていきましょう。
以下のような相手は「友だち」とは言えないということですね。
- いつも、嫌なことを言い合って、いい気分になれない人
- お互いの足を引っ張り合い、なあなあで付き合っている人
- 悪いことを一緒にする人

定義をはっきりさせると、物事が見えやすくなるね!
友だちを作ることの意義
小学校から中学校・高校へと成長していく中で、友だちを作ろうと悩んだり、行動したりすることには大いに意味があります。
なぜなら、その「友だちを作ろうとする行動・行為そのものが成長につながる」からです。
大人の皆さんなら存分におわかりいただけると思いますが、「友だち」っていいことばかりではありませんよね。
- 迷う
- 悩む
- 心配になる
- 不安になる
そういうネガティブな気持ちを感じ、面倒なことも多いのが「友だちとの人間関係」です。
ですが、「自分以外の人とどうやって関係を結び、どうやって共存していくか、工夫や努力をすること」こそ、大いに意味があるんですよね。
そういう経験をし、勉強することができる場が学校だということです。
学校は、ただ勉強し「知識」を身につけるだけの場所と捉えるのは大きな間違いです。
人として「生きる力」を身につける為に学べる場所、それこそが「学校」なのです。
本書では、そんな悩み多き友だちとの関係は「3つの力」を高めることで無敵になる!と言っています。
「3つの力」とはどのようなものなのか、細かく解説していきますね!

友だち付き合いを無敵にする「3つの力」とは?
「気の合う友だち」を作る力
好きから広がる世界を大事にしよう!
「気の合う友だち」は相手の性格や人格を見て作られていくものではありません。
「好きなもののこと」を楽しく話せるから友だちになっていくのです。
好きなものの話題で共感し、話題がはずむことで、どんどん仲良くなっていき「友だち」となるわけです。
そのためには、まずは「自分の好きなもの」を色々と持っておくことが大切ですよね。

子どもには「好きなもの」「興味があるもの」をどんどん持てるようにしてあげましょう!
好きなものを間に置く三角形の関係がいい!
「気の合う友だち」を作るためのコツは友だちとの間に「好きなもの」を置くことです。
そうすることで、自分と友だち、そして「好きなもの」の三角形ができあがります。

お互いの間に「好きなもの」があると、何がいいの?
お互いの「好きなものに共感できる関係」があると、友だちづきあいは一気に楽なものに変わります。
これは大人でも同じですよね。
妻の実家に行く際、間に子どもがいてくれたら話題も広がり、少し楽になる感じ…ありますよね?笑
特定の人とだけ親しく付き合っていくのは、「風通しが悪い」というものです。
お互いの「好き」を尊重することで、風通しがよくなっていきます。
そう考えると、中学校や高校での「クラブ活動」というのはとても素晴らしいものだと再確認できませんか?
だって、「クラブ活動」は「好きなことを一緒にし、目標を共有しながら時間を過ごす」わけですから。
クラブを一緒に頑張ってきた友だちと、深い関係になるのもうなづけます。

「気の合わない相手」ともうまく付き合う力
本当に大切な力は「合わない人ともうまく付き合う力」だ!
だからと言って、全ての人と「好きを共有」しながら、良い関係を築いていくことなど到底不可能です。
ここで必要になってくるのが「気の合わない相手ともうまく付き合う力」です。
この力は大人になり、社会に出た今こそ実感しますよね。
好きでない人とも、「ぶつかり合わず、傷つけ合わず、なごやかに交流し、必要な時は協力できる力」を高める練習ができる場が学校というわけです。

◯◯君がいつも嫌なこと言ってくるから嫌いだよーー!
そんな風に言ってくる子どもに対して、「まぁまぁ…自分も嫌なことしてないか?」などとしか言えていなかった今まで。
でも、これからはそんな人とどうやって付き合えばよいか、少し具体的なアドバイスができそうではありませんか?
- 嫌いな人がいてもいい!
- 苦手な人もたくさんいる!
- うまく付き合えない人もいる!

好きになるんじゃなくて、そういう人とも「うまく付き合う方法」を考えることこそ大切なんだよ!
大人になってからも求められる「コミュニケーション力」とは、仲の良い友達をたくさん作る能力ではなく、どんな相手ともうまく付き合っていける能力です。
友達が離れてしまう理由
ここまで、「気の合わない人」がいるということを肯定する考え方を紹介してきました。
しかし、注意すべきことがあります。
それは、「気の合わない友だち」を肯定しすぎて、自分自身の行動を客観的に見れない子どもを育ててしまうことです。
独りよがりになり、「友だちが離れてしまっている」ことに気づけないようではいけません。
具体的に注意させるべきポイントがあります。
このようなセリフを言ったり、したりしてはいませんか?
「友だちだから言うけど…」
「友だちなら何でも言って良い」
そんな風に勘違いしてしまう子どもが多くいます。
私自身も経験があります。
「思ったことを正直に伝えるのが友だちだ」と勘違いして、何でも言っていた記憶があります。
そんな私を友だちはどんどん避けるようになってしまった、苦い過去です。
子どもに伝えるべきは「親しき仲にも礼儀あり」です。
友だちだからと言って何でも言っていいわけではありませんよね。
「本音を言わせてもらうと…」
「友だちだからこそ本音を伝えるべき」
これもよくある勘違いのパターンです。
本音には破壊力があります。
そして、忘れてはいけないのが、「本音があるということは建前があった」ということです。
今までの建前とのギャップが大きければ大きいほど、相手を傷つけることになります。
言いたい放題は人間関係を崩壊させます。
「否定グセ」がある
よくこんな言葉を聞きませんか?
- いや、そうではなくて
- 違うって、絶対
- そんなの、ありえないでしょ
このように相手を否定するようなセリフがクセになっている場合は要注意です。
また、セリフではなく行動で相手を否定してしまっている場合もあります。
- すぐにムキになる
- 付き合いが悪い
- 誘ってもらっても断る
特に相手がいいと思っているものを否定するのはダメです。
「相手を否定しない」ということは大切なマナーであることを教えてあげましょう。

「ひとり」を楽しめる力
そして何より「ひとりであること」を楽しめる人に育てていくことも大切になってきます。

「ひとり」というと何だか「孤独」みたいなイメージがあるわ…
多くの子どもたちも「ひとりを楽しもう」と伝えるとネガティブなイメージを持ってしまうことも多いでしょう。
ですが、「ひとりであること」には2種類あるということをしっかりおさえておくことが必要です。
ひとりぼっちには「受動的」と「能動的」がある
少しわかりやすい言葉に置き換えると「単独」と「孤立」の違いです。
2つの違いを整理しましょう。
「単独」→自分ひとりであろうとする姿勢、独立心、自立心のある姿勢
「孤立」→まわりから切り離されたような不利な状況に置かれている状態
子どもたちに教えていくのは「単独」であることを目指す姿勢です。
ひとりになることを怖がらないようにするには、「能動的ひとりぼっち状態」を手に入れることが必要になってきます。
そのために大切になってくるのが、先述した「好き」をたくさん持つことですね!
ひとりになることは自分と向き合う絶好の機会である
子どもたちには「ひとりになること」は成長の機会なのだと積極的に伝えたいものです。
なぜなら、「ひとり」を自覚することは「自分自身と向き合う機会になるから」です。
- 人とつるむことをひかえて、単独行動してみる
- 一人で飛び込んでみようという勇気を持つ
友だちとの付き合いも大事だけれど、それ以上に大事なのが「自分自身」であるはずですよね。
自分を大事にできれば、孤独を怖れることはなくなります。
子どもたちには、ひとりでいることの意味を価値づけてあげたいものです。
協調するってどういうことか

「ひとり」でばかりいると、「空気が読めない」「協調性がない」と言われてしまわないかな…
「ひとり」でいるとよく言われる「空気が読めない」「協調性がない」という言葉については改めて押さえなおしが必要です。
- 「ひとりでいる」ことは「空気が読めない」ことではない
- 「ひとりでいる」ことは「協調性がない」ことでもない

「空気を読む」「協調性がある」という言葉についても定義しておきましょう!
・「空気が読める」→その場の雰囲気から状況を推察し、今自分は何をすべきだろうかと考えよりよいこうどうができること
・「協調性がある」→まわりの人と同じようにすることでは無く、自分が動くことで全体がうまくいくかどうかを判断でき、スッと行動できること
いずれも大切になるのは「ひとり」で判断し、行動できる力があるということです。
「ひとり」を楽しみ、「ひとり」を怖れない子どもこそ、空気を読み、協調性を持って行動できる子どもなのです!

【まとめ】自分と友だちを大事にできる子を育てよう!
いかがだったでしょうか?
今まで漠然と子どもに話をしたり、指導をしたりしてきた「友だち」について、親や教師である私たちが筋の通った「友だち論」を獲得できたのではないかと思っています。
私自身、この本によって得られた「友だち論」を一本の軸としながら、日々子どもたちと接しています。
そして、確固たる「友だち論」によって指導のブレがなくなったと実感しています。
この記事をよんでくださったあなたの日々、子どもと接する時間が少しでも有意義なものに変わればこの上ない幸せです。
ご意見、ご感想があればよろしくお願いします。
本書には他にも齋藤孝さんの考えや思いが散りばめられています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね!
それではまたっ!!
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